デザインが気に入っているから、少しくらいの痛みは我慢しようと 思って、 靴を履き続けていませんか?
ゆるくて楽だからと選んだ靴が、疲れやすかったりしていませんか?
せっかく、前回お伝えした足裏アーチの改善のエクササイズをしても、合わない靴を履いていると努力が
むくわれないかもしれません。
アーチが崩れる原因のひとつである『靴』
新しい靴に履きかえるときには、ぜひ正しい靴選びに参考にしてほしい情報です。
足に合わない靴を履いていると?
足が痛くても、合わない靴を我慢して長時間履いていると、 足が正しく使えない状態で、 筋肉、関節は
どんどん硬くなり、機能が低下していきます。
例えば、先が細いパンプスや小さすぎる靴の中は、足の指がとても動きにくい環境になり、つま先部分
(指先)が圧迫され、変形や炎症が起こる場合があります。
また、横幅の大きいものなら大丈夫かというと、大きすぎる靴も足にはよくありません。
確かに指は靴の中で動く方が良いのですが、ゆるゆるという意味とは違います。
甲の部分で足がしっかり固定されていないと、靴が脱げないようにつま先でひっかけるようにして歩いたり、
靴の中で足が前に滑ってしまって、指が押し縮められた状態のまま歩いたりと、大きすぎる靴も、やはり足
の変形をまねく場合があります。
どちらにしても、足に合わない靴を履き続けると、歩き方にも影響がでて、トラブルを悪化させる可能性が
あるため、足の健康のためには 「合わない靴を履かない」は鉄則です。
フィッティング前に抑えておきたいこと
■足のサイズ&特徴を知る
足のサイズは大人になれば変化しないと思いがちですが、微妙に変わります。
朝と夕方で、むくみからくる違いは、実感されている方が多いと思いますが、 足の筋肉の衰えから、
特に甲の部分の幅の広さや、高さに変化がみられます。
さらに足のむくむ時間帯は夕方といわれますが、実はむくむ時間帯は人によって 違うので、ご自分の足が
いつむくのかを知っておいた方が、靴選びの時間帯に失敗しないですね。
また足のサイズは左右で長さが違ったり、足の指の形も千差万別です。
そのため、靴を履いている時に、どこが痛んだり、つらくなるのか、気になるのか 特徴を押さえておく事も
大切です。
今までのサイズで靴が合わないと感じていたら、サイズが違ってきている場合があるので、シューズフィッター
さんのいるお店などで、正しい足のサイズ(長さ、足囲)をはかってもらうことを おすすめします。
■靴の構造をチェック
「ヒールの高さ」
ヒールが高い靴の方が、足がキュッと引き締まって細くきれいに見える!と思いがちですが、
健康的に引き締まっている方は少ないかもしれません。
ほとんどの方は、アキレス腱からふくらはぎの筋肉が緊張して硬くなっています。
そのため、筋肉の本来の役割である ポンプ機能が働かず疲労が溜まっていたり、 重心が前に移動して横アーチ
に大きな 負担がかかり、アーチが崩れから、前足部の 真ん中あたりに痛みが出たりすることがあります。
足の健康を考えるなら、3~4センチくらいの高さが 疲れにくいと言われています。
「ヒールの面積」
靴のヒールが細いほど、かかとの部分の面積が狭くなって、とても不安定になります。
さらに、その不安定な状態で歩くときには、片足で交互に全体重を支えるため、 負担が 大きく、足首を痛め
やすかったり、ぐらつきを安定させようとして脚の筋肉全体が 疲れやすいです。
安定感のある広めのものがいいといえます。
「ヒールカウンター」
靴のかかとを包み込んでいる部分に入っている芯材のこと。
革靴だけでなく、スニーカーも含めて良い靴はかかとの部分を触ってみると硬くて、手で押しても型崩れ
しにくいです。
かかとがぐらぐら揺れるのを防いで、真っ直ぐな状態に保ち、歩行を安定させてくれます。
構造的には、ミュール、サンダル等、かかとのない靴は良くないということになります。
「シャンク」
靴の土踏まずの乗る部分がシャンクです。
歩く時には、かかとからつま先への体重移動において、土踏まずに体重がズシッとかかりますが、
ここが硬くしっかり作られていないと、重みで靴が歪んでしまいます。
特にヒールが高い靴ほど、シャンクの下の部分の空洞が広くなるので、靴が歪んだときに足が受ける
ダメージは大きいです。正しい立ち姿勢や、正しい歩き方をしても歩くたびに、靴から影響をうける
のでとてもコワイですね。
手で押してみると、良い靴はびくともしません。特に重要な部分なので、しっかりチェックしましょう!
「かえし」
歩くときには、最後に足の指で地面をけりますが、この時、母指の付け根と小指の付け根を 結ぶ 前足部
あたりで曲がります。 この時足は、自然にかえった状態になりますが、靴もこの足の自然な動きを妨げない
構造 になっているかということが大切です。
通常、靴底は幅の最も広い部分あたりが、上下に曲がるようになっているので、 足の曲がる位置と靴の
曲がる位置が合っていれば、 足と靴の上下の動きが合い、 かえしがしやすいということです。
靴底全体が硬くて曲がりにくいものや、逆に靴底全体が柔らかく、どの位置でも曲がってしまうような靴は、
足と靴の動きが合わないため、歩きにくくなります。
この「かえし」の位置があっているかは、実際に履いてみて、歩かないとわかりませんが、「かえし」のある
靴かどうかは靴のつま先と、かかとを持って押してみるとわかります。
靴の先3分の1くらいのところを反らせて試します。
自分の足のサイズ、特徴を知った上で、これは!と思う靴が見つかったら、手にとって 構造のチェック。
いよいよ、実際に試着するときのチェックポイントです。
フィッティングの5つのポイント
■足のかえし
さきほど足の曲がる位置と靴の曲がる位置が合っていれば、かえしがしやすいとお伝えしましたが、
かかとに足をきっちりあわせた状態で履いて、歩いた時に 指に力が はいって気持ちよくかえせるようならOKです。
指先に圧迫感があってきつく感じたり、靴が抵抗するような感じがあると、正しく歩くことができません。
■つま先部分(捨て寸)
歩行時に指を使いやすくするために必要な部分です。
指が圧迫されないように1~1.5センチ余裕があるか、つま先が細い場合は 親指、小指が靴の側面から、
無理な圧迫を受けていないか確認します。
■甲の部分(ボールジョイント部)
親指と小指の付け根で、歩く時に足が曲がるところ。一番横幅が大きくなる部分です。
靴を履いて、この靴幅の一番広いところに、足の一番広いところが合っていることが 重要です。
この部分がキツ過ぎると、圧迫感を感じて歩く時に痛みの原因になり、逆に ゆるすぎても 足が 靴の中で
前すべりしてしまいます。つまり靴の前部分が ボールジョイントで固定できないと、つま先の先端の捨て寸も
意味がなくなります。
専門的には、足囲マイナス10ミリで計算して靴を選ぶことを“ころしをきかせる” というそう ですが、
ころしをきかせることで、足の指は下に向き、かかとが脱げにくくなります。
スニーカーやひも靴は、甲の部分をしめつけることができ、前すべりを防げますが、 パンプスや ローファー
などはころしをきかせることで前すべりを防止します。
■トップライン
トップラインとは革靴の履き口の部分のこと。
くるぶし周りの靴擦れするポイントです。 特に外側のくるぶし部分にトップラインが触れ、
痛くて歩けなくなるので、履いた状態でトップラインがくるぶしが当たって痛くないか、 歩いたり
しゃがんだりてよく確認しましょう。
逆にここが低すぎても足の支えが不安定で、脱げやすくなりますので、この点もチェックしてください。
■かかと周り(ヒールカップ)
ヒールカップとはかかと部分のこと。
この部分に余裕がありすぎると、カパカパして歩きにくさの原因になり、 またキツ過ぎるとかかと部分に
靴擦れを発生しやすくなります。
店内を歩いてみて、ヒールカップがかかとにしっかりと付いてくる感覚があるか、靴のヒールの真上に体の
重心がきちんとくる感覚があるかを確かめます。
なかなかおしゃれな靴と足にいい靴、両方満たしたものは難しかったりしますが、根気よく探してみて
ほしいと思います!
ただ良い靴は、やはり高価なものが多いですよね。
靴の数を減らしてでも、良い靴をはくほうをおすすめしますが、 すぐに、買い替えが難しい場合は、
シューズアイテムを上手に 取り入れて みてはいかがでしょうか?!
インソールで足裏アーチを補正したり、中敷き、シューズベルトなどで緩くなってしまった靴を
しっかり固定。また、痛い革靴もなじむまではシューストレッチャー (靴伸ばし)を使って 痛みを軽減する
ことができます。最近は足をきちんと測って、調整してくれる靴店も増えていて シューフィッターさんが
相談にのってくれますよ。
足裏アーチをケアして、足に合う靴を履き、正しい姿勢で歩くことで
足元の健康は取り戻せます。
ぜひ春と一緒に動き出してみませんか!
◇あわせて読みたいブログ◇
「浮き指」と足裏アーチ改善法
足裏アーチの崩れを放っておかないでください
骨盤力で歪み、痛み、不調と美しいプロポーションを同時にケアする